レポート

平湯文夫の研究所だより No.110

さて、今年の仕事は『生資料で読む長崎図書館づくり物語』の出版です。

 日本の公共図書館は、半世紀ほど前から発展しはじめ、以後著しい発展をつづけました。しかし、わが長崎県は、30年ほども宮崎県と共にほとんど変化を見せず、近年の20年ほどで躍進を示して、現在、全国47都道府県中ほぼ半ばに達しました。これはすごいことだと思います。私たちの仲間はこのためにこそ、懸命にがんばりつづけました。日本の図書館界の中枢にいた人が、「平湯さんのような人が全国に10人いてくれたら、日本の図書館はさらに大きく変わるのだが……」と言ってくれたこともありました。
 その活動のあとを、新聞や雑誌や会報やちらしや手紙など、私の手元に残されたものから選んで切り貼りして、本にしようというものです。B5判で500ページぐらいを限度にと思っています。もう20年ばかりもとりくんでいるのですが、大変な作業です。なんとか仕上げ段階にたどりついたかと思いますが、今年1年で仕上がるのか楽観を許しません。
 なにせひと様が書かれて、新聞社などで発行、出版されたものが多く、半世紀にもわたるものです。切り抜いて袋に入れるだけがやっとで、いちいち何新聞の何日付のものかなども分かりません。著作権法などよせつけない代物なので、残念ですが店頭に置くことはあきらめました。ということは、ネット上を除けば人の目にふれることも販売もあきらめるしかありません(ISBNは示します)。ということは、寄贈謹呈がほとんどになります。
 まずいっしょにがんばった仲間たちに。(すでに多くが年老いたり亡くなったりなのが淋しい)。次は、長崎県内の中、高、大学図書館に。そして、全国の図書館員を養成する大学の図書館に。そして、全国の主だった公立図書館に。そしてもしご希望の方がおられたら、ぐっとお安くということになりそうです。
 そもそも、図書館施設としての平湯モデルもこの図書館を発展させる必要から生まれたものです。
 次は「九州・沖縄版」と言いたいのですが、鬼が笑う話です。

ところで、さてさてみなさん読んでくださるのでしょうか。

 かかわった人たちは勿論、中学生以上なら、図書委員や図書館によくやってくる子ならきっと読んでくれるとひとりで思っています。まず最初のカラー印刷の目次のところから。そして、めくっていると、あちこちに気をひく見出しがあり、写真があり……。文字どおり、小さな物語や大きな物語が全巻にあふれているように編集したつもりです。

私の人生をつくってくれた前川恒雄さんが亡くなりました。

 千葉治さんも大澤正雄さんも亡くなりました。同年輩の大切な図書館の仲間たちでした。
 前川さんについては、田井郁久雄さんが「前川恒雄と滋賀県立図書館の時代」というりっぱな本を出してくれて大変ありがたく思っていましたら、暮に前川さんのお嬢さんから、「未来の図書館のために」という最後の著作が送ってきました。お嬢さんのあとがきには、前川さんの最後のひと月のことが書かれていて、これで前川さんとしっかりお別れができた思いです。ただこれら2冊とも、普通の方法では入手できなさそうなのが残念です。

私のHP(図書館づくりと子どもの本の研究所)としてはこれが終りとなります。

 次からは、埼玉福祉と愛知KKのHPの中に、時折登場させていただきます。下記URLへアクセスしてください。お元気で。

【社会福祉法人 埼玉福祉会】 https://www.saifuku.com/shop/hirayu/index.html
【こどもが変わる 学校が変わる 図書館づくり ~愛知株式会社】 http://www.hirayumodel.com/




この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


研究所だよりの目次へ戻る


関連するエントリー

最新のエントリー

エントリー一覧へ >