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平湯先生がノートルダム清心 中・高校の図書館を訪問されました


 2018年11月、平湯文夫先生がノートルダム清心 中・高等学校(広島市)を訪問され、学校長 神垣しおり先生、図書館教育部 竹舛さやか先生と、今後の図書館の整備計画について検討をされました。


 この新図書館は、平湯先生の指導の下で計画されて2018年2月に開館しましたが、旧図書館で使われていた書架などを再利用しつつ、このあとも段階的に改修して理想の図書館づくりを目指しています。
 初めに一番大切な入口から「楽しみ読みのエリア」を整えて開館し、次の段階では奥のほうの「調べ学習のエリア」をより使いやすく魅力的にするために、実際に現地に立って検討を進められました。

 ノートルダム清心中・高等学校は「ナミュール・ノートルダム修道女会」を設立母体とし、名著『置かれた場所で咲きなさい』などで知られ、一昨年に亡くなられた渡辺和子氏が学園理事長を務めてこられたカトリックの名門校です。


ノートルダム清心 中・高等学校のホームページはこちらから



※事例紹介はこちらをご覧ください。


事例紹介:いなべ市立藤原小学校・中学校

  生まれ変わった図書館が、小中一貫の教育を育む。

2017年4月、三重県いなべ市藤原地区の5小学校が統合され、既設中学校校舎と施設一体型の藤原小学校が開校しました。小中一貫教育の環境が整う中、とりわけ重要な教育施設となるのが、小中学生が共有する図書館です。生まれ変わった図書館の役割とともに、今後の教育の展望を関係者の皆さまにうかがいました。


学びを深め、仲間と交流し、未来につながる図書館へ

いなべ市立藤原小学校 校長 児玉勝彦氏

いなべ市立藤原中学校 校長 小川専哉氏

 いなべ市では2014年10月に設置された「藤原小学校開校準備協議会」のもと、藤原地区5小学校の統合に向けた取り組みを進めてきました。統合後の小学校新校舎は既設中学校と一体的に整備することで小中の連携を推し進め、9年間の学びと育ちをつなぐ「小中一貫教育」の導入を目指すものです。 4月の開校以来、昼休みになれば子どもたちが中庭で共に過ごす風景や、登下校時に低学年の世話をする中学生の姿が見受けられるなど、同じ空間を共有するだけで大きな教育効果が得られていることを実感しています。新たにできた小中共有の「図書館」も一つの空間の中で、読書の楽しみを発見し、調べ学習を通して学びを深め、仲間に伝え共有する場となります。 いなべ市では「新しい学校づくり推進ビジョン」として、学び、仲間、未来への3つの「つながり」を掲げていますが、このビジョンは新校舎の設計の基本方針でもあり、まさに図書館は「学びのつながり」「仲間とのつながり」「未来へのつながり」を実践する小中一貫教育の場となるものです。閉校した5つの小学校はいずれも140年以上の歴史を有しており、統合後の小学校はその歴史を継承しつつ、地域や保護者の皆さまと未来に向けた新たな関係を築く必要があります。子どもたちにとって新しい図書館が、地域の方との出会い、交流の場となり、地域の未来について考え、新しい価値観が醸成される場となることを目指しています。




学校、家庭、地域一体となった小中一貫教育の拠点に

いなべ市立藤原中学校 図書担任 伊藤陽祐氏

いなべ市立藤原小学校 図書担任 伊藤さほ氏

 いなべ市の小学生は、1年生で紙芝居を用いた道徳や生活習慣の習得、3年生には国語辞典や漢和辞典の使い方の習得など、授業を通して図書を教材にする機会が多々あります。また、小学校に入学後は朝学習の時間に読書をする学級も多く、地域の方の協力による低学年向けの読み聞かせの機会もあり、幼少期より積極的に本に親しむ取り組みがなされています。そして高学年になると「未来いなべ科」という総合学習が始まり、米作りをはじめ多彩な体験学習が実施されます。6年生では修学旅行の予習もあり、調べ学習のために図書館を利用する機会が増えていきます。


学校図書館コーディネーター 畑中初子氏

いなべ市教育委員会 水谷妙氏

 このように各小学校で実施されていた図書館での学びが、統合後は小中一貫教育の場として進められることになります。さっそく中学の図書委員会が、本に興味を持ってもらう活動として、小学生を対象にした読み聞かせを開始しました。図書委員会は小学校にもあるので、今後は小中で連携を図りながら、新しい成果につなげていきたいと考えています。
 学校図書館には、楽しみ読みの時間を通して本を好きになり、人間性を育てる場としての機能が求められます。また、調べ学習に対応できる資料が揃い、十分な広さを持った学習スペースとしての機能も求められます。これを踏まえ新図書館には木の温もりがある見通しの良い開放的な空間の中で、リラックスして本が読める環境を整えました。教員にとってもカウンターから子どもたちの動きが把握でき、子どもたちの生き生きとした表情を見ることができます。また、クラス全員が調べ学習のできる広いスペースを確保し、授業でも活用できるようになりました。


テーマに基づき複数の本の紹介を通して、子どもたちに自ら読書したいという気持ちを喚起させる「ブックトーク」。

常に“ 子どもたちの図書館”を意識した、選書・配架作業

 一方、蔵書が充実していなければ、人間性を育てる場である図書館としての十分な機能を果たすことはできません。そのため、5つの小学校が所有する図書を、新図書館へ引越し・配架する際に重要となるのが選書でした。除籍にあたっては、各小学校の図書を重複することなく最大冊数を引越しさせるため、出版年数は2000年以降のものを原則とし、蔵書を全てリスト化した後にデータ上で選書作業を行いました。さらに、複数の小学校で重複する図書は最も状態の良いものを選ぶため、写真を撮って確認したり、現場に何度も行って直接確認しました。
 関係者一同、図書の引越しは初めての経験であり、作業日程がどれだけ必要かといった基本事項さえわからず、選書作業も苦労の連続でした。しかも、元中学校の図書館を改修するため、一定期間の閉館が余儀なくされます。そこで事前に念入りな配架の計画を立てることで、少しでも閉館する期間を短縮できるよう努めました。無事、開館にこぎつけることができたのは、関係者や整備員の皆さんの協力とチームワークの賜物だと思います。そして何より図書館が開館するのを心待ちにしている子どもたちに、一日も早く利用を再開させてあげたいという思いの強さが支えとなりました。


 調べ学習エリアと楽しみ読みのエリアがはっきり分かれた新図書館のレイアウトは、子どもたちにも使いやすく、交流のきっかけにもなります。現在、いなべ市では読み聞かせから一歩前進し、自ら読書をする子どもを育てる取り組みとして、本への興味を喚起し、本を読む楽しさを知ってもらう「ブックトーク」を開催しています。これは現状、図書館コーディネーターが実施しているものですが、いずれは家庭、地域でも取り組んでもらえるよう啓発に努めたいと考えます。新しい図書館で学校・家庭・地域が一体となった小中一貫教育を推進し、地域全体で子どもたちの成長を見守っていけることを願っています。


いなべ市立藤原小学校・中学校
所在地:三重県 施主:三重県いなべ市
小学校増築・中学校改修
 設計・監理:株式会社石本建築事務所



「SCENE 93」2018年4月発刊より


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