トピックス

行きたくなる図書館づくりで、“生徒が主役”の教育を推進。 ~長崎日本大学高等学校・中学校~ 前編


 長崎日本大学高等学校・中学校は、長崎県諫早市にある中高一貫教育を行う日本大学の付属校です。2018年には創立50周年記念事業として新校舎が完成し、供用を開始しました。新校舎には中核施設として平湯モデルの図書館が開設され、教育への活用が期待されています。
 同校の教育における図書館の役割と展望について、校長の力野孝典氏と図書館司書の平塚理恵子氏にうかがいました。


長崎日本大学高等学校・中学校 校長 力野 孝典 氏

長崎日本大学高等学校・中学校 図書館司書 平塚 理恵子 氏


高い利便性・採光性を実現した、理想の図書館が完成


 創立50周年の記念事業として完成した新校舎は、グローバル化が進展する時代の中で、新たな教育活動に向けたチャレンジのシンボルとなるものです。安心・安全・快適な学習環境を提供するために整備された校舎内には、卓を4人で囲む正方形テーブルを配置したカフェテリアがあり、食事だけでなく生徒間のコミュニケーションの活性化に寄与しています。大型の電動スクリーンを設置した視聴覚室も誕生しました。


カフェテリア/イス:プロ、テーブル:DTN

視聴覚室/講義デスク・イス:SCF-1507

 本校では3つのコースと科において、それぞれの方針に従い特色ある教育を実践していますが、「チーム日大」としての相互理解・相互尊重のもと、「リスペクト」の精神を共有することを学校方針に掲げています。それは自分と異なるものの考え方を認め合う、多様性の肯定につながるものです。中学3年生と高校生が共に学ぶ環境が整った新校舎により、学年を越えて刺激し触発し合えることで、進学校として進路保証が求められる本校の教育がさらに充実するものと考えます。


図書館/平湯モデル図書館家具(一部既存家具)


入り口は広いガラス戸でシースルーとなり、生徒を呼び込む効果がある。

 そして、新校舎の中で最も期待されている施設が、書籍を通して生徒たちの知的好奇心を刺激し、学校生活をより豊かなものにしてくれる新図書館です。旧図書館も蔵書は充実していましたが、建物が高校生の校舎と離れていたため、高校生には気軽に立ち寄ることが物理的にかなわない状況にありました。
 これら旧図書館の課題を踏まえ、新図書館は中学3年と高校生の教室がある新校舎の3階に設置。広いスペースを確保し、高い利便性、採光性を実現した理想の図書館となりました。



グローバル時代を生きる「人間力」を育む


入り口すぐのスペースには展示台と掲示板があり、生徒を迎え入れる表情のある「バナナカウンター」は、図書館司書と生徒のコミュニケーションの場となる。

 自然光が入る開放的な空間となった新図書館には、木の温もり溢れる「平湯モデル」の家具が落ち着きと心地よさを演出してくれます。旧図書館でも採用していた平湯モデルですが、新校舎に移り環境が整ったことで、その特性が十分発揮できるようになりました。
 視線をさえぎらない背の低い書架のおかげで、司書がカウンターから図書館全体を見渡すことができ、本を探しに訪れる生徒たちの動きも把握できます。廊下から館内がよく見えるガラス戸は、自然光を受け生徒を呼び込む力を増したのか、オープンしてからというものわずかな休み時間にも息を切らせて入ってくる生徒たちの姿が目に付くようになりました。生徒たちの「ワクワク」する気持ちが手にとるようにわかります。


 本校では1学期に1度読書週間を設け、全校生徒が毎朝30分間読書をするのですが、図書館が身近になったことで、読書週間を機に図書館の常連になる生徒も増えてきました。授業で教師が推薦した図書を、休み時間に気軽に探しに来る生徒の姿も見受けられるようになり、「こんな本はないの」と司書に尋ねる生徒もいます。


長崎日本大学高等学校・中学校
所在地:長崎県
施主:学校法人長崎日本大学学園


後編へ続く:後編では「生徒が主役」というスローガンに沿った図書館の活用についてのお話をうかがっています。



「SCENE 98」2019年7月発刊より



関連するエントリー

最新のエントリー

エントリー一覧へ >