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子どもたちの未来を育てる、知の交流拠点。 ~阿波市立土成図書館~ Part 2


前回(Part 1)に続き、様々な世代が安心して利用できる図書館のあり方について、阿波市の計画に携われた皆さまにお話をうかがいました。


阿波市 土成支所長 伊坂 好史 氏【左】 阿波市教育委員会 社会教育課 課長補佐 酒巻 美香 氏【右】


子育て世代が、快適に安心して利用できる図書館


一般のエリア/施設全体でユニバーサルデザインに配慮しており、図書館内の通路も車いすがすれ違える幅を確保。


 旧図書館は天井が低く、狭小で圧迫感のある空間に背の高い書架が並んでいたため、新図書館の館内は採光性が高く、開放的な空間を目指しました。そのため新たに採用したのが、背の低い書架です。児童書エリアのものは高さを1,215mmに抑えており、高い書架は館内奥の壁面に配置。入り口やカウンターから館内が見渡せることで、小さなお子様連れの親御さんも安心して見守ることができます。書架の素材は内装と合わせ、温もりが感じられる木製で統一。低いだけでなく底板が広く安定感がある台形なので耐震性にも優れ、最下段まで本が見やすくなっています。蔵書も約2万冊増えており、いずれ時期を見計らって読み聞かせなどのイベントも催していきたいと思います。


絵本とお話のコーナー/子どものための図書館を 意識し、入り口近くに児童書コーナーや読み聞かせのキッズコーナーを集約。


 さらに、旧図書館にはなかった「自習室」を新たに設け、静かな環境が得られる図書館奥に配置し、集中できる学習空間を求める学生のニーズに応えました。開館後、入室制限下でも頻繁に学生が利用してくれているのが見受けられます。図書館とつながるデッキテラスや施設周囲にはベンチもあり、豊かな自然の中で利用者が互いに語らい、やすらぐことができるようになっています。公民館の利用者は、生涯学習やサークル活動に取り組むシニア層が中心。図書館の主な利用者に想定する子育て世代や学生との世代を越えた交流も期待できます。
 新図書館の誕生により、旧図書館では実現できなかった子育て世代層の利用が活性化することで、市の未来を担う子どもたちがかけがえのない1冊と出会い、新図書館が未来につながる架け橋となることを願っています。


自主学習室/学習に集中できるよう臨席とパーティションで区切られている。

郷土資料のコーナーには、地元出身の三木武夫元総理大臣に関する書籍が並べられている。


玄関脇に設けられたブックポストとその内部。

閉架書庫


阿波市立土成図書館(土成中央公民館併設)
所在地:徳島県
施主:阿波市
設計:株式会社阿波設計事務所
延床面積:1,432.9m2
開架書庫:60,500冊
閉架書庫:17,270冊


Part 1はこちらから


Part 3はこちらから



「SCENE 103」2020年12月発刊より


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