研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.030


大木町立図書館の家具の据えつけが完了しました。

 先月ちょっとふれた大木町立図書館の家具のとりつけが2月3日から始まり、12日にサイン関係を除いてほぼ完了。最初の2日間と最後の1日出かけました。築30年の公民館施設が、これほど面目一新するものかと、だれも驚いて喜んでいただいているようで嬉しいことです。町が、私を信じて任せ、私の提案を最大限に尊重していただいたこと、設計事務所も家具製作所も、その他皆さん、手間ひま惜しまず誠意を尽くしてくださった賜物です。
 「コンクリートから人へ」の時代に変えていこうというとき、合併後の旧庁舎などを改修した図書館づくりのモデルにでもなれたらと思っています。
 5月5日の子どもの日のオープンに向けて、今、準備室のスタッフは、新しい本の配架に懸命です。開館したら、ぜひ誘いあわせて訪ねてください。
 公立図書館の改修にかかわったのはこれで9館目でしょうか。もう一館、10館目も5月中に開館できそうです。
 それらの経験も生かして、今回は最も存分にやらせていただいたものといえそうです。


天然記念物の大藤で有名な黒木町の図書館も訪ねました。

 大木町を終わった翌日、大木町から東へ車で40分ほどの黒木町の図書館も訪ねました。昨年、改修をてつだって、大変喜ばれた館長さんに、見てほしいと幾度も声をかけていただきながら、果たせないでいたからです。
こちらは、公民館図書室を少し広げただけの広さですが、やはりすっかり変わっていました。木とレイアウトの力はすごいと思いました。
こちらは、私のプランというよりも、館長さんの長年の思い入れによるものというべきでしょう。



 八女市に合併する黒木の住民のためにいい分館として残したいという町と館長さんの熱い思いが、ほんとにすてきな図書館に生まれ変わらせました。木の力を思い知らされる改修です。


図書館問題研究会の研究集会で発表しました。

 この研究集会では、21年前と17年前につづく3回目の発表で、テーマは、一貫して同じ「現状の図書館の書架は、分類順に整然と並んでいるだけで、肝心の本がちっともアッピールしてこない。なんとかしましょう」というものです。分類順配架に徹底して助かるのは研究者と読書好きと図書館員で、大多数の利用者である一般市民や子どもたちのために大切なことは、わくわくさせるようなディスプレイで、本を読みたくさせることのはずです。図書館家具を早く「市民の図書館家具」につくりかえていきたいものです。


帰りは、山口県山陽小野田市立図書館の津田館長さんと山陽小野田市へ。

 山陽小野田市の全小中学校の図書館を生き返らせようと燃えておいでの津田館長さんと、昨夏にひきつづき同市へ。
 昨夏、あわただしく訪ねていっしょに手づくり改修プランを考えた、全校生徒58名の厚陽中学校の図書館がみごとに生き返っているのに驚きました。校長先生はじめ、市立図書館の方々の熱意と実行力に敬服しました。1泊して、いくつかの学校とホームセンターを訪ねて、改修法や工具や木材の購入法などいっしょに考えました。同市の学校図書館が生まれ変わっていくのが楽しみです。


 昨年の夏、「この図書館を生きかえらせたい」とおっしゃる校長先生と津田館長さんの訴えに、すっかり頭をかかえてしまったほどの図書館でしたが、訪ねてみて驚きました。市立図書館や父母の方たちの熱意と実行力で写真のように生まれかわったのです。あのひどい窓下書架をどうやってすてきにされたのか、ためつすがめつ見たものです。陽やけを防ぎ、部屋をやさしくするための欄間のカーテンも手づくりだそうです。ディスプレイもすてきです。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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