研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.88


沖縄中部O市の小学校と中学校の図書館計画のことなどで訪沖しました。

 佐賀県玄海町の小、中4校を1校にする工事も完成ま近かとなり、図書館の引越しの打合せや指導で訪ねました。完成が楽しみです。
 そのまま福岡から沖縄へ飛んで、О市の小学校と中学校へ。昼間は、両校の現在の図書館を訪ねて、校長先生、教頭先生、学校司書で検討、話合い。
 5時30分から8時30分まで、О市を中心に他市からも集まってこられた学校司書や校長先生、教頭先生、市教委、設計事務所、琉球大学教育学部などから、広い図書館いっぱい50何名も集まられて、私のスライドトークと質疑など。
 勤めが終わっての自主参加に自治体をこえてこれだけ集まられるというのがすごい。しかも、行政も管理職も学校司書も、そして大学からも。私たちが校長室に引きあげたあとも1時間ほどは残って熱っぽく話しあっておられた模様。先日の鹿児島につづいて嬉しいことです。
 今回は、沖縄県からの受託事業としてとりくむ琉球大学教育学部の、「図書館を学習センターと位置づけた基本構想づくり」に、施設の専門家として招かれたもの。国立大学が、学校図書館のことを県の受託事業として取り組むというのも、司書教諭養成のために、学校図書館学の準教授を入れているというのも初めてきくことです。


翌日は、平湯モデルを30年近くもつくってくれている家具製作所の新工場の落成式に。

 沖縄の学校図書館に平湯モデルをとり入れてくださった学校司書の方たちも誘って参加しました。久しぶりにお会いできたのも嬉しいことでした。
 翌日は、一日、いっしょに南部をドライブしました。メインは、あのひめゆり部隊が、米軍の沖縄上陸から南端のひめゆり壕へ逃げのびるまでの2か月間をたてこもった南風原(はえばる)壕です。30ほどもあるらしい山の中の手掘りの壕の内、7年前にやっと一つだけ内部が公開できるようになった「沖縄陸軍病院南風原壕群20号」です。大学講師をしながら週に1,2日のボランティアという青年に案内してもらいました。右の写真をご覧ください。下の写真は、町立文化センター内に再現された壕の内部です。幾度か訪ねた海軍司令部壕は、大学の同窓会で訪ねて、案内しながら絶句してしまいましたが、ここも同じです。まちにも学校にもしっかり図書館をつくって、こんな愚を二度とくりかえさないようにしなければなりません。
 同行の1人は、教組の運動で、沖縄の県立高校に最初に公費司書が置かれたときの1人だったという話も興味深いことでした。教組からも教委からも、公費で置かれただけの結果を示さなければと期待されて、活動と報告で大変だったそうです。60代、70代になってしまって、もう会えないかと思っていた人たちとの3日間は楽しいものでした。1日目のО市での、若い学校司書さんたちとの新しい出会いもまた嬉しいことでした。


沖縄陸軍病院 南風原壕群 20号 


南風原町立文化センター内に再現された壕の内部。


One Book、One Pen Can Change the World.

 ノーベル賞の中野さんは、「電灯がなくて本の読めない子どもたちに電灯をとどけたい」と言い、マララさんは、「1冊の本が世界を変える」と言っています。図書館にかかわる仕事をしていることはすばらしいことだとあらためて思います。

いよいよ来春、小、中で共用することになる長野県佐久穂町の学校図書館を訪ねました。

 1年前から中心となる中学校だけは使ってきましたが、来年4月から残る4校も加わるということで、この1年の利用経験をふまえて、学校側、教委もいっしょに検討し、引越しにそなえようというものです。来年が楽しみです。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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