研究所だより

平湯文夫の研究所だより No.037


平湯モデルもやっと立ちあがれるかもしれません。

 平湯モデルでつくった公共図書館は、すでに5つの県で、人口当たり貸出冊数で楽々トップに踊り出ているのをはじめ、学校図書館も児童生徒は勿論、父母たちにまで歓声をもって迎え入れられています。
 それにしては、まだまだ普及がたちあがっていません。「なんとしても平湯モデルで」という人たちがおられる反面、関心のない人が多いのでしょう。
 しかし、今度は立ち上がれるのかも知れないという動きがあります。平湯モデルの普及になかなかよさそうなところから「ぜひいっしょに」という誘いがあり話をつづけてきたからです。そのつめの話し合いに出かけました。


私学は公立とずいぶんちがうと思いました。

 6月に、静岡県の私学の中高校図書館の研修会に行ったのですが、その時「私の学校図書館の改修の診断とプランをしに来てほしい」と一人の学校司書に頼まれました。「OKです。ただし、校長先生や理事長さんなどに私の話をきいていただけるようにしてください」と言いました。すると、即座に、「はい、そのようにします」との答えでした。そして、前項の用事のついでにたずねることになりました。朝9時からの診断に始まり、校長先生と2人の教頭先生に、有志の先生方も加わられてのスライドトークのあと、改修の提案を校長先生にお話しました。そのあと、3時半からは、6月に会った司書の方々の中から4名もやってこられて、その改修プランをいっしょにきかせてほしいという念の入りようでした。それにも、校長先生も参加されるというなごやかさは、公立にはあまり見られないすてきなものでした。
  「経営者にも会えるようにしてほしい」というのに、その場で「はいそうします」と答えて、旅費などの費用をともなうことまで司書に任されている空気の学園なら、職員もやる気がでることだろうと思いました。
 これは、自治体職員と私企業職員のちがいとしてもよく感じることです。


奈良での図書館大会に参加して、待望の飛鳥の里もめぐりました。

  ドストエフスキー翻訳の亀山郁夫氏の記念講演はすばらしかった。
  終了後、奈良の知人の案内で遷都1300年の平城宮をめぐり、翌日はその前の都であった飛鳥の里もめぐりました。


熊本のブックフェアーで、2日間、手づくり家具の実演をしました。

  ブックフェアーとタイアップの、たつみや章さんのNPO「本はよかばい」主催の「本はよかばいフォーラム」に竹村先生と参加。丸2日、たっぷり使えて存分にできました。2日つづけて来た人もかなりおられて、手づくり家具はほんとうに反応が確かです。
 この手づくりのテキストとして増刷した「図書館家具絵物語」増補版は、1人で200冊も注文されるなど、反応の早い人もかなりおられる反面、出版から4か月もたつというのに大部分の人たちは無反応です。大切なことだから、テキストも出版し、各地で実演もやってきているのに、情報のプロであるはずの図書館員がまことに鈍感というほかありません。なにより関係団体の機関紙誌、情報紙誌です。今、学校図書館は、人と資料でやっと立ちあがりを見せていますが、施設のおくれが決定的なブレーキとなっていることを訴えつづけているのに、なかなかわかってもらえないのです。編集者は最も鋭いアンテナをもってリードしていかなければならないという認識がないようです。このことは平湯モデルについても同じく言えることです。


図書館に本を届けられたダンボール箱で簡単にできる正円のステキな展示台づくりの説明。


工具も木材も揃えて参加者を待つ。


1400円でできる簀の子掲示板をジグソ ーを使って。


平湯モデルの家具展示場まで設けてもらいました。


この記事は、2003年7月1日から平湯文夫先生が自身のホームページ「図書館づくりと子どもの本の研究所」に掲載した研究所だよりを再編集して転載したものです。


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